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EC倉庫で業務効率アップ!導入するメリットデメリットとは?2025.08.13

近年、EC市場の拡大は目覚ましく、それに伴い商品の「届け方」の重要性が増しています。商品力や集客だけでなく、スピーディーで安定した物流体制が売上アップやリピート獲得の鍵となる時代です。このような背景から、EC事業における物流の効率化や人員不足の解消を担う「EC物流倉庫(EC倉庫)」が注目を集めています。

この記事ではEC倉庫の基本的な概念から、3PLサービスを活用した効率化のポイントや倉庫が果たす役割、システムの導入メリット・デメリット、最適なEC倉庫の選び方や商材別の対応について詳しく解説します。

3PLサービスを活用してEC倉庫業務を効率化するポイント

3PL(サードパーティー・ロジスティクス)とは企業が自社で物流を行う代わりに、物流業務全体を専門業者に外部委託する仕組みのことです。EC物流代行サービスは3PLサービスの一種で、EC物流に特化した多様な業務を担います。

EC倉庫は、インターネットを通じて行われるECに特化した物流倉庫を指します。具体的には、ECサイトで注文を受けた商品の入荷や保管、在庫管理、発送といった一連の物流業務を一括して行います。

従来は単に商品を保管する場所を指していましたが、近年では倉庫内で行われる検品や梱包などのサービスも含まれるようになっています。EC市場の成長に伴い、EC倉庫の重要性は高まっていると言えるでしょう。

EC倉庫は単なる「保管場所」にとどまらず、EC事業者の業務効率化とブランディング支援の両面で重要な役割を果たし、ビジネス成長を支えるパートナーとなっています。

倉庫・拠点が果たす役割とEC倉庫システム導入のメリット、デメリット

EC倉庫はEC事業特有のニーズに対応するために、一般的な物流倉庫とは異なる特徴と役割を持っています。ここでは、以下の見出しで解説します。

● EC倉庫が果たす主な役割と特徴
● EC倉庫システム導入のメリット
● EC倉庫システム導入・外部委託のデメリット

EC倉庫が果たす主な役割と特徴

ECビジネスでは幅広い商品を少量ずつ取り扱う特性上、商品の正確な位置情報を把握し、効率的な在庫管理を行うことが重要です。これは誤った商品発送を防ぎ、在庫切れや過剰な在庫を最小限に抑えるために必要不可欠な要素となります。

顧客はオンラインでの注文に対して迅速な配送を期待するため、注文受付から発送までの時間を短縮することが求められます。配送の遅延や商品の破損は顧客満足度を低下させるため、迅速かつ正確な対応が重要です。

加えて、商品の魅力を高めるために多様な流通加工に対応することで、顧客のリピート率向上や満足度向上、競合他社との差別化を図ることが可能です。ECサイトでは実際に商品を確認できないため、返品や交換に関する問い合わせが増加する傾向にありますが、これらの要望に対して迅速かつ丁寧に対応できる顧客サポート体制を構築することが顧客満足度と企業ブランドの向上に繋がります。

EC倉庫システム導入のメリット

EC倉庫の運営において重要な役割を果たすのが、倉庫管理システムです。WMSをはじめとするシステムの導入は、EC倉庫業務の効率化と品質向上に影響を与えます。具体的には、WMSは物流倉庫における一連の業務プロセスをデジタル化し、リアルタイムで統合的に管理することで業務効率化とヒューマンエラーの抑制に繋がります。

その結果、入荷や保管、ピッキング、出荷といった作業をシステム上で管理し、人為的なミスを大幅に減らすことが可能です。さらに、WMSを導入すると在庫量をリアルタイムで正確に把握することが可能になり、品切れによる販売機会の損失や過剰な在庫によるコスト増大を回避し、最適な在庫マネジメントを実現できます。

また、最新のシステムでは自動倉庫で使用されるロボットや自動梱包機といったマテハン機器との連携も積極的に推進しており、さらなる効率化と省人化を図れます。品質分類管理や有効期限管理、先入れ先出し管理、ロット・シリアル番号管理、セット商品管理など、商品特性に応じた詳細な管理機能を提供することで、多岐にわたる商品の品質と追跡可能性を確保することが可能です。

EC倉庫システム導入・外部委託のデメリット

システム導入やアウトソーシングは多くの利点をもたらす一方で、考慮すべき短所も持ち合わせています。

物流業務を外部に委託すると業務プロセスが自動化されるため、誤出荷は減少する傾向にありますが、社内での物流に関する知識や経験が育ちにくくなります。そのため、将来的に自社で同様の業務を行うことを検討する際には、根本からの再構築が必要となるかもしれません。

また、特殊な包装や名入れといった特別な要望がある場合、代行業者への詳細な指示が求められます。業者によっては対応が困難であったり、対応範囲に制限があったりする場合があるので注意が必要です。

さらに情報伝達に時間がかかり、迅速な対応が難しくなることも考えられます。オンラインストアの物流倉庫との連携が不十分であったり、定期的な在庫状況の確認を怠ったりすると物流業務が不透明化し、発注ミスや在庫不足に気づきにくくなることがあります。物流業務が1つの拠点に集中することで、自然災害やシステム障害などの予測不能な事態が発生した場合、物流機能全体が停止する危険性もあります。

EC事業運営での倉庫選びと導入手順

ここでは、EC事業運営での倉庫選びと導入手順について以下の見出しで解説します。

● EC物流倉庫の種類
● EC物流倉庫の選び方と導入手順のポイント

それぞれの内容を理解し、自社に合った倉庫を導入できるようにしましょう。

EC物流倉庫の種類

EC物流倉庫は多岐にわたる種類があるため、事業規模や委託したい業務範囲に応じて最適な選択が重要です。委託を検討している業務内容への対応可否を事前に確認しましょう。

種類 特徴 メリット デメリット
販売代行型 AmazonのFBAサービスのように、受注から出荷準備、返品対応までを物流運営の大部分を委託可能 コスト効率が良い 細かな仕様変更には対応しにくい場合がある
専門業務特化型 食品医薬品、衣料品など特定の業種に特化した業務や設備を持つ専門的な施設や専門知識を提供 特殊な保管・加工が必要な商品に適している 該当業種以外の商品には対応できない
倉庫サービス主導型 物流施設運営主体。保管の保障からの提案から流通加工まで、柔軟な対応が可能 物流品質の向上、ブランドイメージの確立が可能 コストが比較的高くなる傾向がある
システム連携型 システム開発会社と連携した倉庫運営。システム連携による効率化やスピード対応が期待できる データ連携による自動化、効率化ができる 直接的なコミュニケーションが取りづらく、各顧客専用のカスタマイズには不向きな場合がある
フルフィルメントセンター(FC) 商品の入荷から配送までの物流プロセス全体を包括的に管理 一元管理による効率化が可能 特になし
トランスファーセンター(TC) 在庫を持たずに、荷物を受け取り、根倉後、速やかに積み替えて配送する通過型施設 スピード重視、在庫リスク軽減 特になし
ディストリビューションセンター(DC) 在庫保管・重包装管理など、在庫型倉庫 多様な商品を保管可能 特になし
プロセスディストリビューションセンター(PDC) 在庫管理に加え、流通加工や品質管理、商品組立機能を提供 付加価値の高いサービスを提供可能 特になし

それぞれの種類について理解し、自社に合ったものがどれかを考えてみましょう。

EC物流倉庫の選び方と導入手順のポイント

EC物流代行サービスを選ぶ際の重要な考慮事項は以下の通りです。これらの点を考慮することで、EC物流の最適化に繋がり、事業の成功を後押しすることが期待できます。

1. 業務範囲と扱う商品の適合性
まずは自社が委託したい業務の範囲と取り扱う商品の種類に対応できるかを確認しましょう。各サービスで専門的な知識や設備が提供されているかどうかを確認するのが重要です。

2. 物流品質、実績、および信頼性
次に、誤出荷を防止するためのシステムの導入状況や検品の精度、過去の導入事例などを検証し、信頼できるサービスプロバイダーを選択しましょう。全国に拠点を展開している場合は、リスク分散と迅速な配送が期待できます。

3. システムの機能と連携能力
自社のECプラットフォームや基幹システムと、EC物流倉庫のシステムが円滑に連携できるかは非常に重要です。リアルタイムで在庫情報や出荷状況を把握することで、業務効率を向上させ、エラーを減らすことができます。

4. 柔軟性と細やかな対応
ギフトラッピングやメッセージカードの同梱など、顧客満足度を高めるための細やかなサービスを提供できるかを確認しましょう。特に、自社ブランドの体験価値を重視する場合は、カスタマイズオプションが豊富なプロバイダーを選ぶのがおすすめです。

5. 物流倉庫のロケーション
配送速度とコストに影響を与えるため、顧客への配送にかかる時間を短縮し、アクセスしやすい場所にあるかを確認しましょう。高速道路や主要道路に近い場所、都市部へのアクセスが良い場所は当日配送をサポートしやすいです。

6. 公正な価格設定
初期費用や固定費、変動費の内訳を理解し、自社の出荷量と業務量に見合った費用対効果があるかを確認しましょう。初期費用が低くても、継続的なコストが高くなる場合があるため注意が必要です。

7. サポートおよび連携体制
問題発生時の対応速度や常に連絡を取ることができる担当者がいるかどうかなど、充実したサポート体制を持つプロバイダーを選びましょう。EC物流倉庫の稼働状況をいつでもモニタリングできる連携体制があることが望ましいです。

8. 実際の倉庫視察
最終決定を行う前に実際に倉庫を訪問し、整理整頓の状態や作業プロセス、設備、従業員の作業態度などを確認するようにしましょう。

EC倉庫をアウトソーシングする際の検討ポイント

EC物流のアウトソーシングサービスは多くの企業から提供されており、その内容は多岐にわたります。

最適なEC物流倉庫を選ぶためにはまず、貴社が外部委託したい業務範囲が、委託先のサービスに含まれているかを確認する必要があります。また、商材がアパレルや食品、医薬品などの場合、それに応じた適切な管理体制や流通加工に関する専門知識・設備を有しているかも重要な判断基準となります。特定の業界に特化した倉庫も視野に入れると良いでしょう。

次に、誤出荷率の低さや配送の正確性・迅速性といった物流品質は顧客満足度を大きく左右するため、委託先の実績や信頼性を検証し、丁寧な検品体制や導入されているシステムについても確認が必要です。倉庫管理システムの有無や機能、ECサイトや基幹システムとの連携可能性も確認すべき点です。リアルタイムでの在庫状況把握やスムーズな出荷データ連携は、業務効率化に直結します。

さらに、ギフトラッピングやメッセージカードの同梱や特別な梱包方法など、細やかな要望に対する対応能力も確認しましょう。固定料金での代行サービスとカスタマイズ可能な代行サービスが選択できる場合もあります。特に、自社ブランドの価値向上を重視する場合には、豊富なカスタマイズオプションを提供する業者を選定することが重要です。

配送にかかる時間や物流コストに影響を与えるため、顧客や仕入れ先に近い立地を選ぶことも重要です。高速道路や主要幹線道路へのアクセスが良い場所は、当日配送の実現にもつながります。保管料や入庫料、梱包料、配送料など、各業務にかかる費用を詳細に把握し、貴社の出荷量や業務範囲に見合った費用対効果を検証することも大切です。初期費用だけでなく、継続的に発生するコストも考慮に入れる必要があります。

導入時や運用中のサポート体制が充実しているか、問題発生時に迅速なコミュニケーションが取れるかを確認し、長期的なパートナーシップを構築できる信頼できる業者を選ぶことも重要です。緊急時の対応スピードや常に連絡が取れる担当者の有無も確認しましょう。

商材別に必要な設備や品質管理ポイントを学ぶ

EC物流倉庫は、取り扱う商品によって必要な設備や品質管理のポイントが異なります。

倉庫の種類 特徴 主な用途
自動化倉庫 ロボットや最新システムを活用 高速ピッキングなど
低温倉庫 冷蔵・冷凍区画を設置 食品や医薬品、化粧品など、適切な温度管理が求められる商品の保管
マイクロフルフィルメントセンター 小規模な配送センター EC物流拠点、迅速な配送
販売主体型倉庫 受注処理から発送手配、返品処理までを代行 EC販売におけるほとんどの業務を委託
業種特化型倉庫 特定の業種に特化 温度管理や検針、アイロンがけ、補修といった専門的な流通加工や管理が必要な商品
倉庫サービス主体型 保管から出荷、流通加工まで対応。カスタマイズ可能 自社独自の運用方法や業務フロー、流通加工業務を導入したい場合
システム会社主体型 システム会社と提携 コストを抑えたい場合。ただし細かなカスタマイズは難しい場合がある
フルフィルメントセンター(FC) 商品の入荷から配送まで EC物流業務全般
トランスファーセンター(TC) 在庫を保管しない通過型 小ロット多頻度配送
ディストリビューションセンター(DC) 在庫管理・重量物 商品を一時保管してから出荷
プロセスディストリビューションセンター(PDC) 物流業務に加え、高度な流通加工機能 部品の組み立て、精密・鮮度管理が必要なお菓子の加工作など

EC物流における品質管理では、以下の点が重要です。

まず、正確な在庫管理が不可欠です。多品種の商品を扱うECではロット管理や賞味期限管理を行い、リアルタイムで在庫数を把握する必要があります。

次に、丁寧な検品が重要です。入荷時や出荷前には、商品の個数や破損・異常の有無を目視で確認します。輸入品や食品、衣類などでは、より入念な検品が必要となる場合があります。

また、適切な保管環境も重要です。商品の品質を維持するため、温度や湿度、衛生状態など、商品に応じた適切な環境での保管が求められます。

さらに、迅速な作業フローも重要です。納品書の簡素化や梱包の工夫、倉庫内のレイアウト最適化、受注処理のデジタル化など、物流業務全体のスピードアップが顧客満足度向上に繋がります。

まとめ:EC倉庫導入で自社ECサイト運営の効率と顧客満足度を大幅向上

EC市場の成長とともに、ECサイト運営における物流の役割はますます重要になっています。EC倉庫はEC物流に特化した専門サービスを提供することで、企業の業務効率改善や費用削減、顧客満足度の向上に影響を与えます。

EC倉庫への業務委託によって、企業は新製品の開発やマーケティング戦略といった本質的な業務に注力できるようになり、自社だけでは実現困難な高度な物流品質や需要の変化への柔軟な対応が可能になります。しかし、専門知識の内部蓄積の難しさや臨機応変な対応の限界、少量発注時のコスト増といった注意点も存在します。

EC倉庫を選定する際には、自社の規模感や取り扱い商品、求めるサービス内容、予算、システム連携の能力、サポート体制などを多角的に検討し、総合的な判断を下すことが重要です。実際に倉庫を訪問し、現場の状況や従業員の対応を確かめることも、最適な協力企業を見つける上で役立ちます。

常に動向が変化するEC市場において、信頼できるEC物流のパートナーと連携し、柔軟かつ安定した物流システムを構築できるかどうかが、今後のビジネスの成否を左右すると言えるでしょう。EC倉庫を有効に活用し、効率的なECサイト運営と顧客満足度の最大化を目指しましょう。

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