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EC向け発送代行サービスを徹底比較!選び方、メリット・デメリットから導入のポイントまで解説2025.07.15

EC市場は大きく成長し、オンラインでの商品販売は多くの事業者にとって重要なビジネスとなっています。しかし、売上が伸びるにつれて在庫管理や注文処理、梱包、配送、返品対応といった物流業務が、ECサイト運営者にとって大きな負担となることがあります。これらの業務を自社で行う場合、時間や手間がかかり、本来注力すべき商品開発やマーケティング、顧客対応といった重要な業務がおろそかになる可能性があります。

そこで注目されているのが「EC発送代行サービス」です。この記事では、EC発送代行サービスの種類や選び方、導入するメリットとデメリット、自社発送との比較、小規模ECサイトでの活用方法などをわかりやすく解説します。

適切な発送代行業者を選ぶことで、物流の効率化やコスト削減、顧客満足度の向上につながり、ECビジネスの成長を後押しするヒントが得られるでしょう。

EC発送代行サービスとは

EC発送代行サービスとは、ECサイト運営における物流業務を専門業者に外部委託することを意味します。具体的には、オンラインストアで販売する商品の保管や注文受付後のピッキング、梱包作業、配送手配、加えて購入者からの返品に関する処理など、物流に関わる一連の業務を包括的に代行します。

このサービスを利用する最大のメリットは、事業者が商品開発やプロモーション活動、顧客サポート、ECサイトの改善といった、より戦略的な業務に注力できるようになる点です。また、専門業者による効率的な物流システムを活用することで、経費削減や迅速な配送サービスの提供を実現することも可能です。

EC発送代行のサービス形態

事業者を選定するにあたり、自社の要求に合ったサービス形態を見極めることが重要です。ここでは、EC発送代行の主なサービス形態を解説します。

3PL (サードパーティ・ロジスティクス)

3PLとは、企業が物流機能の一切を専門業者へアウトソーシングする形態です。これは在庫の最適化や倉庫での保管、商品の選別、梱包、発送処理などを包括的に委託することで、企業側の負担を軽減するものです。

主な利点として、物流工程の効率化とコストの抑制が挙げられます。専門的な知識や技術を駆使し、最適な輸送ルートの策定や在庫管理の高度化を図ることで、企業の固定費と変動費の両面からコスト削減を実現できます。

これにより企業は、物流関連業務に費やしていた時間や経営資源を削減し、マーケティング戦略の強化や製品開発への注力、顧客サービスの拡充といった本業に集中することが可能となります。

フルフィルメントサービス

フルフィルメントサービスとはEコマース業界において、顧客からの注文受付から最終的な商品配送に至るまでの一連のプロセスを代行するサービスです。具体的には、商品の入荷検品や倉庫への格納、注文処理、ピッキング作業、出荷前の検品、商品梱包、発送手配など、注文処理に関わるすべての業務を網羅的にサポートします。

最大の長所は、バックエンド業務の一元管理を通じて商品の配送プロセスをスムーズに進められる点にあります。これにより、顧客からの多様な要望に柔軟に対応することが容易になり、結果として企業ブランドの価値向上に影響を与えるでしょう。

一方、短所としては顧客管理やコールセンター業務まで外部委託する場合、顧客からの直接的なフィードバックやニーズの把握が困難になるケースがある点が挙げられます。

ドロップシッピング

ドロップシッピングは製造元が販売店を経由せず、オンラインストアからの注文に応じて商品を顧客へ直接発送するものです。製造元はオンラインストアへ商品を卸すことなく顧客へ直接発送するため、在庫リスクを大幅に低減できます。そのため、売れ残り在庫を抱える心配がなくなり、在庫管理に関わるコストや保管スペースの問題から解放されます。

一方、オンラインストア側は商品の在庫を保持する必要がないため、初期投資や在庫管理の手間を省けます。これにより、低コストでの事業運営が可能となり、より幅広い商品ラインナップを提供できる柔軟性を獲得できます。

ただし、製造元は販売価格の低下を招く可能性があり、収益率の悪化リスクを伴います。また、販売店の質に大きく左右されるため、不適切な顧客対応がブランドイメージに悪影響を与える懸念があることに注意しましょう。

EC発送代行業者を選ぶポイント5選

業者を選ぶ際には単なるサービス提供者ではなく、通販サイトを運営していく上でのパートナーとして捉えることが重要です。ここでは、EC発送代行業者を選ぶ際に気をつけるポイントを5つ紹介します。

信頼できるパートナーの選定

商品の安全な保管と、継続的なバックヤード業務のアウトソーシングを検討する上では、信用のおける委託先を選定することが不可欠です。なぜなら、もし誤った商品発送が頻発したり、物流の質が低い業者を選んだ場合、ショップの評判を損ねるだけでなく、結果的に売上減にも繋がる懸念があるからです。

このようなことが起きないように信頼できるパートナーを選ぶようにしましょう。

実績と対応能力の確認

業者を選定する上で、過去の取り扱い商品の種類や量、配送能力を理解しておくことは不可欠です。また、ECサイト側の受注管理システムと倉庫側の倉庫管理システムがスムーズに連携できるか、そのための専門知識を持つスタッフが十分にいるか、高いIT理解度があるかを見極めましょう。

さらに、特別なセールやキャンペーンで注文が大幅に増加した際に、迅速かつ効率的に対応できる能力があるかどうかも大切な点です。事前に1日に発送可能な最大件数を確認しておきましょう。

商材に合わせた体制の有無

各商品には、その特性に応じた特別な保管条件があり、これらを満たせる業者を選ぶことが重要となります。

例えば食品であれば、定温倉庫や冷蔵・冷凍倉庫の設備、先入れ先出し(FIFO)の徹底、賞味期限・消費期限の適切な管理、法規制や衛生管理の知識と体制が求められます。工業製品を保管する際はロット番号や製造日、有効期限などの詳細なロット管理・シリアル管理、特定温度・湿度での保管、精密な梱包(衝撃・振動保護)が必要となります。

このような商品によって、商材や対応を変えられるかどうかを確認するようにしましょう。

特殊梱包や付加価値サービス

繁忙期の贈り物需要に応えるために、バレンタイン、母の日、クリスマスといったイベント時には、特別なギフトパッケージの提供が不可欠となります。また、贈り物を開封するまで中身がわからないように配慮された、プライバシーを重視した梱包に対する要望も増加傾向にあります。

さらに、ECサイト運営をサポートする事業者の中には、注文処理やカスタマーサポート、商品画像の撮影やサイズ計測、商品説明文の作成、ウェブサイト構築、広告戦略の立案など、多岐にわたる業務を代行してくれるところもあります。

このような特殊な梱包や付加価値を付けるサービスを行ってくれるかを確認するようにしましょう。

透明性のある料金設定

料金システムが明瞭で理解しやすいことは不可欠です。最初の見積もり価格が低くても、後からオプション料金が思いのほか高額になるケースもあるため、全体の費用構造をしっかりと理解し、最終的な請求金額を明確に提示してもらうことが重要です。

価格の安さだけに目を奪われず、提供されるサービスの品質や対応可能な範囲とのバランスを考慮して、総合的に判断するようにしましょう。

EC発送代行サービスを導入するメリット

ECサイト運営者が発送代行サービスを導入することで、多くのメリットを享受できます。ここでは、どのようなメリットがあるのかを解説します。

本業に注力できる

EC発送代行サービスを導入すると、商品の受け入れや品質検査、在庫管理、商品取り出し、梱包、発送といった物流倉庫における一連の作業を専門業者にアウトソーシングできます。

そのため、EC事業者はマーケティング活動やその他重要な業務にリソースを集中させることが可能になります。

経費削減と透明性の確保

EC発送代行サービスを導入すれば、自社で倉庫や保管場所を維持する必要がなくなり、それに伴う従業員の人件費も削減できます。また、フルフィルメント代行業者は運送会社と特別料金契約を締結していることが多いため、個別契約よりも割安な配送料金で発送でき、コスト効率が向上します。

さらに、フルフィルメント代行サービスを活用することで管理コストや人件費など、さまざまな要素が入り組んでいる発送関連コストを可視化し、不要な出費を抑制することも可能です。

物流の品質向上とエラーの低減

EC発送代行業者は物流のエキスパートとして専門知識と設備を駆使し、誤出荷を抑制することで高品質なサービスを提供しています。バーゲンセールやイベント開催時など、注文が大幅に増加した場合でも、人員増強によって迅速な配送を維持することが可能です。

さらに、発送量に応じて料金が変動するため、発送量が少ない時期には費用を抑え、コストを最適化できます。

EC発送代行サービス導入のデメリット

EC発送代行サービスを導入すると、自社内で物流に関する専門的な知識や経験を培うのが困難となるため、将来的に自社で物流を担う際に支障が生じるかもしれません。また、顧客関連の情報が外部事業者に開示されるため、その事業者の情報管理体制によっては、個人情報が漏えいする危険性が増えてしまいます。

さらに、EC発送代行サービスでは対応可能な商品カテゴリーが限られている場合が多く、特定の製品や商品群を取り扱うことができないことも考えられます。特別な包装や詰め合わせ商品の提供など、お客様の満足度を向上させるための取り組みがサービス内容によっては実現できない場合もあるでしょう。

個人事業主や小規模ECサイトでのEC発送代行サービスの活用

小規模ECサイトや個人事業主にとって、発送代行サービスの導入は大きなメリットをもたらします。人材やリソースが限られている状況でも、商品の保管や梱包、配送といった物流プロセスを専門事業者にアウトソーシングすることで、時間と費用の両面で効率化が期待できます。

まず、発送代行サービスを利用することで、生まれた余剰時間を商品企画や販売促進、顧客対応など、より重要な業務に割り当てることが可能になります。発送代行会社は複数の顧客の発送業務を一括して請け負うため、少量の商品であっても割安な配送料金でサービスを提供できるケースが多く見られるので、予算が少ない場合でも依頼することができるでしょう。

また、発送代行サービスを導入すると、在庫管理の方法は大きく変化します。商品の保管場所と管理責任が発送代行会社の倉庫へ移行し、多くの場合、高度な倉庫管理システム(WMS)が導入されます。

WMSはリアルタイムでの在庫確認や自動化された在庫情報更新を可能にし、ECサイト運営者は常に正確な在庫状況を把握し、欠品や過剰在庫のリスクを抑制することが可能です。注文が入ると自動的に在庫数を減らし、必要に応じて補充の指示を出すなど、在庫管理の自動化と効率化を推進します。手作業による在庫確認や更新作業から解放され、よりスピーディーかつ正確な管理が実現できます。

さらに、専門業者による入荷時と出荷時の検品作業は商品の品質を維持し、誤出荷を防止するために欠かせないもので、顧客満足度の向上に貢献します。特に、バーコードを活用した管理を行うことで、商品一つ一つの動きを正確に把握し、人為的なミスを減らすことが可能です。

まとめ

EC発送代行サービスはECサイト運営者にとって、物流オペレーションの効率化やコストの最適化、品質の向上など多岐にわたる利点を提供し、ビジネスの拡大を強力にサポートする魅力的な選択肢と言えます。

本記事で述べたように、フルフィルメントパートナーを選定する際には、価格だけでなく、その企業の過去の業績と専門性や取り扱い商品に特化した管理システム、ギフト包装などの特殊な梱包や付加価値サービスの提供力、料金体系の明確さ、そしてサービスのクオリティと対応領域を包括的に評価することが不可欠です。

とりわけ、小規模ECサイトや個人事業主にとっては、少量からの対応や効率的な在庫管理、プロフェッショナルな品質検査は非常に有益です。

物流業務は、一見すると単なるコスト要因と見られがちですが、外部の専門企業に委託することにより、企業の中核となる事業にリソースを集中させ、顧客満足度を高め、最終的には収益増加に貢献する「戦略的投資」と捉えることができます。

自社の要件に最適なパートナーを見つけることが、ECビジネスの持続的な成功に向けた重要なステップとなるでしょう。